茨ちゃんは勘違い
十中八九、間違いない。

何故なら奴ならヤりかねないからだという根拠が、百合絵の中にはあった。

朝からホント、どうしてくれようか、この握り緊めた拳を。

「あんの野郎ぉぉおぉ…」
「し、白石さん?」

殺気立っている百合絵は非常に声を掛け辛いものだったが、恐る恐る桜が肩に触れる。

それに百合絵は正気に戻り、桜を問い質す。

「住吉さん、茨ちゃ…城山さん見なかった?」
「そういえば…」

桜は額に指を当て、今朝あった事を話した。

「なんか…凄い勢いで教室へ向かって行ったわ…」
「そっか…よーし…」

百合絵が腕捲りをし、自分の教室へ向かおうとした時に、桜はこう付け加えた。

「両手いっぱいに…ラブレターを持って」
「そう………はい??」

百合絵は思わず耳を疑った。

「ラブレター…うん、ラブレターだと思う。下駄箱に入っている手紙の定番と言ったら、ラブレターだもんね」

と、桜が何か時代錯誤な事をサラリと言っている。

今時居るのかそんな奴…いや、居るっちゃあ居るんだろうが…

…待てよ。

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