君にとってのハッピーエンド、僕にとってのバッドエンド
防犯カメラの死角になる位置を移動し、若菜をマンションの部屋へと連れて行く。そしてリビングのソファに若菜を座らせ、アイマスクを外す。若菜は涙をこぼしながら僕を見上げた。

「優二くん、どうしてこんなことをするの?」

「若菜を愛してるからだよ」

若菜の隣に座り、抱き締める。若菜を抱き締めるなんて小学生以来かもしれない。やっと触れられた若菜の体は華奢で、とても柔らかい。

「は、離して!」

「離さない」

強く抱き締めると、若菜の体が強張っていく。そんなに怖がらなくてもいいのに。僕は若菜に幸せになってもらうために攫ったんだから。

「若菜、君はあの男に無理やり好きになるよう監禁されていたんだよ」

若菜を離して目を見つめる。若菜は怯えた目をしながら、「無理やり?」と訊ねる。僕は調べて学んだことを言った。

「誘拐や監禁された被害者が、犯人に対して愛情を抱いてしまうストックホルム症候群っていう病気があるんだ。若菜はきっとこの病気なんだよ」

「そ、そんなことない!」
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