君にとってのハッピーエンド、僕にとってのバッドエンド
「どちら様ですか?」

念のため、ドアを開ける前に声をかける。相手は「宅配便です」と答えた。ドアの覗き穴を見ても、宅配業者の服を着た男性が立っている。顔は帽子を深くかぶっているからわからないけど、荷物をちゃんと持っていた。

鍵を開け、チェーンを外す。そして荷物を受け取ろうとすると、男性は強引に家の中へと入ってきた。僕が慌てて男性の肩を押すも、男性は玄関の中に侵入し、ドアを閉める。

「な、何なんですか!!不法侵入で警察を呼びますよ!?」

まずい、リビングには若菜がいる。もしも見つかったら……。

僕が声を荒げても、宅配業者は動じることもせず落ち着いている。そしてゆっくりと帽子を取った。

「警察を呼ばれて困るのは君の方だろ?俺の大事な若菜を返してもらおうか、この誘拐犯」

宅配業者の正体は、僕の憎い相手である紫水圭。ポカンとしているうちに紫水圭は僕を押し除け、リビングへと入って行く。刹那、「若菜!若菜!」と叫ぶような声が聞こえてきた。
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