ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜3
 そんな正体不明の子猫である彼女を保護してくれたルディは、エリナの正体をまだ知らない。
 突然この国に現れた、賢いが心の底に闇を持つエリナの過去になにかがあることを感じてはいた。しかしルディは、素直で悪意など持たない、むしろ周りの人々に幸せを振り撒く優しい子猫であるエリナが何者であろうと、自分が保護して育てようと誓っていた。

 もしも彼女が妖精獣ケット・シーであると知ったとしたら、ものすごく過保護なルディは「そのような訓練は、小さな子猫には危険だからやってはならん! エリナは俺が後ろ盾となって面倒を見るのだから、妖精獣の仕事などする必要はないぞ」などと言って反対しそうであるが。

 大好きな人々が住むスカイヴェン国の立派な守護妖精にいつの日かなろうと、彼女はルディが夜勤の日に妖精の粉の力でぐっすりと眠るミメットの家を抜け出し、こうして優雅な月夜の散歩に出かけて……ではなく、フェアリナとしての力を磨いているのだ。

 クー・シーが放つ妖精の粉の効果はたいしたもので、ふたりが屋根の上を駆け回る姿は誰にも見えないし、物音も聞こえない。せいぜい「風が吹いているのかな」と思われるくらいだ。
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