今宵、ロマンチスト達ここに集いて




『――――は?!』

今日一番の大声が出てしまった。
そして今度は唇を締め直したりはしなかった。

『心臓……って、どうしてそんなことが分かるの?もしかして先生から何か言われたの?』

声を荒げて詰め寄りたいところだが、それはグッと鎮めた。赤ちゃんはまだ夢の中なのだ。


『彬くん?心臓の病気って何なの?詳しく説明してよ!』

『それは………俺も、どんな病気までかは知らされてないんだ。ただ……命にかかわる病気だということしか分からない』

『命って……何それ、いったいどういうことなのよ!』

今度は、感情がこらえきれなかった。
すると、わたしの声に赤ちゃんが起きてしまい、アー、アッ、アッ!と声にならない声で不快感を訴えてきたのである。


『あ……ごめん、ごめんね』

わたしはするりとベッドからベビーベッドに駆け寄る。
そして彬くんよりも先に赤ちゃんを抱き上げた。

『ごめんね。パパがおかしなことを言うのよ?あなたが病気だなんて、そんなこと……』

あやしながら彬くんに対する苛立ちをどうにか宥めようとした。
けれど赤ちゃんにはそんなことどうでもいいことで、わたしの腕の中、眠たそうにあくびを繰り返すと、やがて目を閉じていく。
穏やかに夢に戻っていった赤ちゃんにホッと胸を撫で下ろしたわたしは、


『変なこと言わないで、彬くん』

ぴしゃりと非難しながら、彬くんには背を向けて、赤ちゃんをベッドに寝かせた。









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