冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~

響side

玲奈と契約して7ヵ月。
とても順調。

でも正直あと5ヵ月しかない、という焦りしかない。

俺のことを気にして欲しい。
契約ではなく俺自身を見て欲しいという思いが
日に日に強くなっている。

週末デートに誘うと応じて一緒に出かけてくれるが…ぎこちない、というかデートではない。お出かけ、という表現が近いだろう。
もちろんいつものように会話も弾むが恋人のようなものはない。肩を組んだりしてみるが…多分断る理由がないから組まれてるのだろう。自分から近寄ってくることはもちろんない。

むしろ契約妻の役割とさえ思っていると思う。

この関係を破るにはどうしたらいいのだろう。

年末に買い物に行った時思い切って手を繋いでみた。
玲奈の手は柔らかくて、あたたかかった。
ずっと握っていたかった。
繋いだ手を離されなくてよかった、とつくづく思った。
でも手を繋ぐだけで嬉しいなんてまるで高校生みたいだな、と情けなくも思った。

それに正月の集まりで言ってくれたことはすごく嬉しかった。
俺の味方だと、俺が思う道をまっすぐ進めと言ってくれた。
なんで力強い言葉なんだろう。
俺の欲しい言葉ばかり玲奈は俺にくれる。

俺は玲奈が欲しい。


何度も、契約ではない、家族だと話した。
関係はギブアンドテイクだと言った。




まて…
この言い方がいけないんじゃないか?!

家族?
俺は家族じゃなくて恋人になりたいんだ。

ギブアンドテイクではない、と言った…
お互いに利益があるといった。
利益なんかを求めているわけではないのに。

玲奈に契約を忘れて俺と向き合って欲しかったのに根本的に間違っていたのではないか。

玲奈は俺に対して絶対的な負い目がある。
それをよく理解しきれていなかった。
負い目のある俺にギブアンドテイクと言われたら上から目線だよな。

だから俺は抜けてると言われるのだろう。
だから俺はおぼっちゃまと言われてしまうのかもしれない。
自分では普通と思っているがそうではないところが出てしまうのだろう。

玲奈とはいつでもフェアでいたいのに。

どうしたら伝わる?
どうしたら俺の気持ちが届く?
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