冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
帰り道、響さんに謝られてしまった。

「ごめんな、新年早々嫌な気持ちにさせてしまって…。こうなるかも知れない、と少しだけ思ってたんだ。けど…こんなあからさまな態度を取るなんて思わなかったんだ。大人として場を弁えるかと思ってた。ごめん。甘かったよ。」

「いいんです。でも…響さんがこんなふうに言われてると思うとつらくて。響さんが頑張ってることを誰よりも見てますからね。朝早くに家を出て、帰ってくるのも遅い。どんな時間にかかってきた電話にも対応してる、並大抵なことではないってわかってますからね。」

「玲奈、ありがとう。」

「それにね…実は…私やり返してきたんです。」

「?どういうこと?」

「私がトイレに行ったら叔母様方が追いかけてきたんです。で、別れろとか色々言ってきて最後には私の面の皮が厚いと言われました。なので私の面の皮も厚いけど皆さんも化粧で厚いですねって言い返して逃げたきたんです。」

「すごいな!感動する。」

「どうせあと数ヵ月の妻ですから…もっと言ってくればよかったかしら。次会ったら叔父様方も殴り倒してから妻を辞めることにしましょう。」

「カッコいいな!玲奈は見かけによらず正義感たっぷりで人情味のある人間なんだな。」

「それだけ響さんの見方ってことですよ。だから伸び伸び仕事してくださいね。響さんが正しいと思うことをしてくださいね。」

「心強いよ。ありがとう。」
< 119 / 205 >

この作品をシェア

pagetop