冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
「さぁ、次は玲奈の番。」

「あれ?買い物はもういいんですか?私は帰りにドラッグストアで落としてください。」

「あー…それは帰りにちゃんと寄るよ。他のもの!」

「他はないですけど…。」

「俺が見てあげるよ。さぁ、行こう。」

「え?」

響さんはエスカレーターに向かい一つ下の階へ向かう。

私は後ろをついて歩く。

「玲奈はどんな色が好き?」

「大人しめですかね…紺、白、黒、ベージュ。でもそこに差し色で明るい小物とか靴を入れるのが好きです。」

「ふぅーん。」

響さんは20-30代のオシャレな方々に人気のあるブランドへ足を踏み入れる。
私も知っているけど高くて買ったことはない。そもそもなんとなく敷居が高くて入ったことさえない。

私が何となく入るのを躊躇っていると響さんが私の腰を押してきた。

「弓川様。ご来店ありがとうございます。」

「こんにちは。今日は妻と俺の分を見立ててもらえる?」

「まぁ、この度はご結婚おめでとうございます。是非お手伝いさせていただければと思います。」

まさかの常連?!

「奥様、わたくし、店長の大森と申します。いつもご主人様にはご利用いただきありがとうございます。今日は是非奥様も見ていらしてくださいね。」

「ありがとうございます…」
私は恐縮してしまい小さな声で答えた。

「俺はカジュアルなジャケットとパンツ、あとは何かあれば適当に見せてもらいたい。」

「かしこまりました。」

「妻には…似合うものを色々見せてあげて欲しい。」

「かしこまりました。奥様は可愛らしい感じなので淡いお色もお似合いかもしれないですね。色々お出しして参りますのでおかけになってお待ちください。」

「ありがとう。」

私たちは少し影になっているところにある個室のようなブースでソファに座り待たせてもらう。

こんな風に洋服を買うなんて思っても見なかった…。

しかも座っていたら冷たい飲み物まで運ばれてきた。

こんな世界があったなんて…。

響さんは慣れているのか気にするそぶりもない。

そうこうしているうちにラックにかけられた洋服が持ち込まれてきた。
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