かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 このままじゃ、本当にキスされる!?
 
 なんとかして躱さなきゃと思うのに、身体は言うことを聞いてくれない。あと数センチと迫って来たところで、ギュッと目を閉じた。
 
 あ、もう少しで唇が……。
 
 ドキドキしながら、そのときを待つ。待つ……待っているのに、唇は一向に触れられることはない。不思議に思い、うっすら目を開けてみた。驚いたことに瑞希さんの顔はすっかり離れていて、左手で顔を覆い隠し肩を揺らして笑っているから呆然とするしかない。

「瑞希さん……」
 
 そこでやっとからかわれていただけなことを知り、顔に熱がこもる。目を閉じた自分が恥ずかしいやら情けないやら、目にじわっと涙がにじんだ。

「悪い。冗談だとは言えやりすぎた。そんな顔をしないでほしい。本当にキスしたくなる」
 
 瑞希さんは本当に反省しているのか、バツが悪そうに表情を歪めると私の身体をやおら抱きしめた。

 公私混同に同意しておいて抱きしめるなんて……。

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