かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
でも、私を抱く瑞希さんの腕は優しい。すぐに振りほどくことができるのにそうしないのは、きっと彼に包み込まれているのが心地いいと身体が思ってしまったからで、決して私の意思ではない。
なんて言い訳は通用しない……かな。
瑞希さんの背中に、そっと腕を回し入れた。
「あの……会いたかったです。その、かなり……」
「だから早く出勤して、俺の椅子に座っていた。そういうこと?」
「椅子に座っていたのはタイミングと言うか、なんというか。でも座ったら瑞希さんを感じてしまって、無償に会いたくなってしまって……」
ああ、私はなにを言っているんだろう。こんなこと言うつもりじゃなかったのに、瑞希さんに抱きしめられていたら口からぽろぽろと真意がこぼれてしまった。
「俺も会いたかったよ。まだ別れてから数時間しか経ってないのに、会いたくて仕方がなかった」
私の首元に、瑞希さんが顔を埋める。鎖骨の辺りに唇を這わすとほんの少し引きつるような痛みが走り、「んっ」と声が漏れた。