公然の秘密
尾関は嬉しそうに笑うと、抱きしめてきた。

「ーー柚愛…俺、嬉しいよ…」

耳元で囁くように言ってきた尾関に、
「ーー私も、嬉しいです…」
と、柚愛は言った。

「なあ」

「うん?」

「…キスしてもいいか?」

尾関に言われて顔全体に熱が集中したのがわかった。

「えっ、あっ…」

「無理にとは言わないけど…」

「い、いいですよ…!」

そう言うと、柚愛は目を閉じた。

頭に手が触れたかと思ったら、髪の中に手を入れられる。

(き、緊張する…)

初めてのキスなのかと思うくらい、柚愛は緊張していた。

尾関の顔がだんだんと近づいてきているのがわかった。

緊張のあまり、どうにかなってしまいそうだ。

このまま、気絶してしまったらどうしよう…と、不安も感じた。
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