公然の秘密
「えっ…」

「ーー柚愛が好き、それだけだ」

真っ直ぐに自分を見つめて気持ちを言った尾関に、柚愛の胸がドキッ…と鳴ったのがわかった。

「俺は柚愛が好きだから結婚しようと思ったんだ」

「ーーッ…」

その目からそらすことができない自分がいた。

「柚愛は、俺のことをどう思っているんだ?」

尾関に聞かれて、
「や、優しい人だと思ってます…。

私に親切にしてくれて、感謝してもしきれないくらいです…」
と、柚愛は答えた。

「好きか嫌いかは?」

「ーー…です」

「えっ?」

柚愛は口を開くと、
「ーー好きです、麗一さんが好きです…」
と、答えた。

いつの間に、彼のことを好きになっていたのだろう?

尾関に好きと言われるまで、自分の気持ちに気づかなかった。
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