公然の秘密
「ああ、もしかして今日は都合が悪い?

彼氏とデートとか何か予定でも入ってるの?」

「そ、そう言う訳では…」

「本当に茶をごちそうするだけだから。

飲んだらすぐに帰ってくれても構わないし、家に入るのが嫌ならばここで出すし」

「そ、そこまでしなくてもいいです…。

ただ顔をあわせて少し話をしただけの関係なのに…」

首を横に振って答えた柚愛に、
「俺がしたいだけだから。

仕事終わりで疲れているところに変なところを見せちまったから」
と、尾関は言い返した。

ここまでくると、自分がイエスと返事をしない限りは無理だと柚愛は判断した。

「…じゃあ、1杯だけ飲んだらすぐに帰りますから」

「よし、入るぞ」

先にマンションに入った彼の後を追うように、柚愛は歩き出した。
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