公然の秘密
第2章
それから1週間が経ったのだが、弘人との関係は気まずいものになっていた。

お互いに顔をあわせることもない、顔をあわせたとしても口を利かないーーそんな日が続いていた。

「ーーもう潮時なのかな…」

洗濯物を干しながら柚愛は呟いた。

同時に、1週間前に尾関に言われたあの言葉が頭の中に浮かんだ。

ーーそれさ、俺が相手じゃダメなの?

そこから次から次へと尾関の言葉が蘇ってきた。

ーー今の彼じゃなくて、俺でもいいんじゃないか?

ーー結婚したい子供が欲しいと思っているんだったら、俺が相手でもいいんじゃないか?

ーーそんな気がない彼なんかよりも俺が相手でいいんじゃないかって

胸がキューッと締めつけられるような気がしたのは、自分の気のせいだろうか?
< 34 / 211 >

この作品をシェア

pagetop