The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜
「ありがとう」
私はそんなヘンリーの社交辞令を適当に流してにっこりと笑ってみせた。
「ヘンリーは今何を読んでいるの?」
「ああ、これか」
私の格好の変化よりも優先したいのはヘンリーが今読んでいるものだ。
興味津々でヘンリーに問いかけるとヘンリーは楽しそうに笑った。
それはそれはすごく悪そうな笑顔で。
「これは禁書だ。魔界では危険すぎて破棄されたと記録されている代物。普通なら手に取ることさえも叶わない」
「…え」
ヘンリーの返答に私は思わず表情を引き攣らせた。
数分前の私よ、他の兄弟たちと比べて随分慎ましい欲望、とか思っている場合じゃないぞ。
全然慎ましくないぞ。
危険な香りがする。