The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜
どこまで走ればいいのだろうか。
色のなくなった街を走りながら私はふとそう思った。
ヘンリーとエドガーとクラウスは無事なのだろうか。
『咲良』
頭の中で誰かの声がする。
「…」
いや、これは誰かではない。
ちゃんと私が知っている人物の声だ。
『咲良、帰っておいで。じゃないとヘンリーもエドガーもクラウスも殺しちゃうよ。今一緒にいるギャレットとバッカスも』
テオだ。
テオのおかしそうな声が頭の中で響く。
何がどうなっているだ。
テオはどうしてそんなことをするのか。
私は何故彼らを信じて彼らと逃げることを迷わず選べたのか。
わからない。
もうすぐでわかりそうなはずなのにどうしてもわからない。
だが、彼らが、ヘンリー、エドガー、ギャレット、クラウス、バッカスが殺されるのだけは絶対に嫌だった。