The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜
もちろんヘンリーも。
「体調はもう大丈夫なのか?咲良」
ただただ驚くだけで私に声をかけようとはしない兄弟たちの中でヘンリーだけはおかしそうに笑いながら私にそう声をかけた。
「まあ、おかげさまで。先日はありがとう」
私は怒りの気持ちを抑えてヘンリーに作り笑いを向けた。
毒で倒れたあの日。
ヘンリーは夕食後、私の小屋へたまたまミアが席を外している時に現れた。
夕食の時間になっても現れなかった私を心配して来た、とヘンリーは言っていたが、おそらくそれは嘘だろう。
あの力なく横になる私を愉快そうに見下していたヘンリーの瞳が忘れられない。
心配して来たというのは建前で、私が苦しんでいる姿を見に来たに違いないと察するには十分な表情だった。
「何故、咲良があんな目にあったのかこちらでも調べたよ。原因はおそらく朝食時に混じってしまった魔界のスパイスだ。あれは人間には猛毒になる。兄弟たちもそれを知っていたから君の復帰の早さに驚いているんだ」
私の疑いの目をすぐに察したのだろう。
ヘンリーはその疑いが晴れるようにすぐに笑顔で最もらしいことを言う。