チューリップ~君に贈る花~

直後に、目の前の壁が見えなくなり、正面に大きな空洞が広がっていた。


「どうぞ、中にお入りください。」

男は壁の前に立ち止まり、俺が先に入るようにと促す。


恐る恐るその不思議な空間に足を踏み入れる。


が、中は至って普通な真っ白な部屋だった。



「そこに座ってください。」

男が指さす方向に目を向けると、いつの間に用意したのか、そこには机といすが置かれている。


俺は言われるがまま、そのいすに座った。


ふと、さっき入ってきた部屋の入り口のほうを見ると、もうそこには空洞などなかった。



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