チューリップ~君に贈る花~
少し歩いて、男は真っ白な壁の前で止まった。
「着きました。」
男が背中越しに俺に向かってそう言った。
着いたってどこにだよ…
思わず声に出してそう言いかけたが、口をつぐんで足を止めた。
後ろからでは何をやっているのかよくわからなかったが、男が何かぶつぶつ小さい声で言いながら壁に手をかざすと、どこからか光の線が壁を伝い、真っ白な壁に模様を描き始めた。
太陽ともとれるような、月とも思えるような、様々な形を描いていく。
最後に星座のような模様が浮かび上がり、すうっと光が消えていった。