旦那様は征服者~琉聖編~
「とりあえず、車に乗ろ?」
二人は後部座席に乗り込んだ。
「琉聖」
「ん?」
「怒ってる?」
「園田にね」
「係長のせいじゃないよ。
私が仕事が遅いから……」
「………」
明らかに雰囲気が、変わった。

「え?琉聖…?」
「アイツの肩持つの?」
「え?」
「ダメだよ。小梢は俺のこと“だけ”を考えないといけないんだよ!
なのに、俺以外の人間の肩を持つなんて……」
琉聖が小梢の頬に触れた。

「ごめんね…肩を持つつもりはないの。
ただ、私のせいで他人を傷つけるの嫌だなって思っただけだよ」
小梢は言いながら、涙が伝っていた。
「小梢は優しいね…!
大丈夫だよ。ほんとに小梢に怒ってるんじゃないよ?
わかった!じゃあ…今回だけ、小梢に免じて目を瞑ってあげる」
その小梢の涙に琉聖は、ゾクゾクと気持ちが昂り身体が震えていた。
小梢の目元を指で拭い、目元にキスをした。

「ありがとう…!」
フワッと微笑む小梢。
「小梢…」
「ん?」
「キス…しよ?」
「え?うん…
んんっ……ンンン…」
琉聖は小梢の口唇をまるで噛みつくように、ハムッと食らいついた。

狂喜が抑えられない。
自分に涙を流しながら、懇願している。
可愛くて、愛しくてしかたがない。

琉聖は夢中で小梢の口唇を貪っていた。

「んんっ…琉聖…もう……」
「小梢の口唇…甘いね……」
「はぁはぁ…」
「顔もエロい…益々ゾクゾクする……」
口唇をなぞり囁いた。

「琉聖…もう行かないと……それに、何か一口食べておきたい…!」
「あぁ…そうだね」
そう言って、車の窓をトントンと叩く琉聖。
すると、外に待機していた秋山がドアを開けて紙袋を琉聖に渡した。
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