旦那様は征服者~琉聖編~
マンションに入りベッドに縫いつけられるように、組み敷かれている。
小梢は裸だ。
琉聖の手が、ゆっくり身体中に滑る。

「んん…」
「なんで…」
「やぁ……」
「外に出たの…?」
「りゅ…せ、い……お願、い」
「質問に答えて…?」
小梢の目を鋭く見つめる。
「マンションの……敷地内だからいいと思ったの」

「でも…外だよ…!」
「どうして…ダメなの…?」
「危ないからだよ…」
「私、子どもじゃないよ…」
「何度も言うけど、小梢は俺だけの事しか考えちゃダメなの!!外には何があるかわからないでしょ?」
「変だよ!それ……」
「変だよ。わかってるよ。そんなこと…最初から……
小梢はこの家で俺のことだけ考えて、俺だけに愛されて暮らすんだよ。
外なんか出たら、余計なこと考えるでしょ?
俺のことだけで見て、声を聞いて、俺の名前だけを呼んで…?
ほら“琉聖”って!
それ以外なんて、もう……必要ないんだよ…!」

「お願い…ずっと家の中は、息が詰まるの……だから、散歩位ならいいでしょ?」
小梢は震えていた。
裸で寒いからではない。
琉聖が何かに、取り憑かれているかのように別人に見え恐ろしいから。

琉聖はほんとに、文字通り……小梢しか見えていない。

「散歩…くらい?
………って、何?」
「え……琉…聖?」
「わかってないみたいだね。小梢」
「え?」
「小梢は“俺の”小梢なんだよ。
俺のことだけ考えるの、当たり前でしょ?
なのに、なんで俺以外の人間が小梢を見るの?
なんで俺以外の人間が小梢に触れるの?
やっと……仕事辞めたんだから、もう…外には出さないよ。
それに………………」
「━━━━━━!!!!
………っんんっ!!!」
ググッと繋がる二人。

「もう……小梢には、俺しかいないでしょ?」
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