旦那様は征服者~琉聖編~
「ねぇ、小梢…」
「ん?」
「仕事…辞めてくれる?」
「え!?」
バッと起き上がり、琉聖を見下ろした。

「仕事、辞めて」
「ど、して…?入社して一年経ったばかりなのに」
「嫌?」

あ、これだ━━━━━
これが、小梢を縛りつける。

「じゃあ、私は…何をするの?」
「ん?ここで俺だけを待つの」
「お願い…仕事は続けたい。ちゃんと家のこともするから!頑張るから」
「んー、どうしようかな~」
ゆっくり起き上がり、小梢をシーツごと抱き締めた。

「お願い…」
「わかった、一回だけ…チャンスあげるよ?」
「え?」
「俺と約束して?」
「約束━━━━?」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日の朝早くに、小梢の荷物が全てマンションに運ばれた。
数人の琉聖の部下が、荷解きをしてクローゼット等にしまっていく。
驚きなのが、小梢の使っていた家電や家具等は全て廃棄されていた。
もっと驚いたのが、小梢の一番お気にいりのソファだけはちゃんとマンションに運ばれたことだ。

「だって、これ小梢が初ボーナスで買った思い出のソファでしょ?さすがにそれは捨てないよ」
と言っていた。
確かにその話はしたが、一度しかしたことない。
しかも、あまり興味なさそうだったはずだ。

「ありがとう」
「当たり前でしょ?小梢のことなら、何でも覚えてるよ!」
「あの!荷解き、手伝います。てゆうか、私の荷物ですし」
荷解きをしている、女性の部下に話しかける。

「小梢!
忘れたの?や、く、そ、く!」
「あ……」
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