年上同期から恋人へのロード
沙羅と気持ちが通じ合った夜、俺は栗田に電話した。
「栗田、俺、沙羅と付き合うことになったから」
「・・・秋月、名前で呼ぶようになったんだな。牧瀬のこと本気なのか」
「あぁ、初めは気が強いやつだなと思ってたけど、陰で泣いたり、落ち込んだり、そのくせ人のことばかり考えて、自分が甘えたくても我慢する、そんな姿から目が離せなくなった。いつの間にか目で追いかけて、好きになっていた」
「俺が牧瀬を追いかけてるから、仲いい同期が取られるからってだけじゃないのか。そんな気持ちなら、牧瀬にいいかげんなこと言うなよ!」
「栗田、お前沙羅の何を見てきたんだ、悲しい思いさせて、今更なんだよ」
「俺は確かに牧瀬を裏切った形にはなったけど、牧瀬への思いは純粋に大切だった。今も
あの頃も牧瀬を大切に思う気持ちは変わらない」
「勝手なこというなよ!牧瀬は苦しんだんだぞ。牧瀬の何を知ってるんだよ」
「牧瀬のことなら何だって知ってるさ!俺はお前以上に牧瀬を知ってるよ。心も体もだ。太ももにほくろがあることまで知ってるよ」
俺はその言葉に怯んだ。
でも沙羅のことで引けない。
「俺が、栗田のこと忘れるくらい愛するよ。お前が牧瀬のこと大切に思うっていうなら、もう牧瀬を困らせるようなこと言うなよ」
そう言って俺は電話を切った。
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