一番好きなのは、キミだから
「七星ちゃん。このクッキーは……?」
「え? あっ……えーっと」
真宙くんのために作ったって、正直に言っても良いかな?
「あの、実は……。昨日バイトが終わって家に帰ってから、今日真宙くんに渡そうと思って。そのクッキーを焼いたの」
「マジ? 七星ちゃんが、俺のために?」
「うん。だけど、さっきグラウンドで転んだときに、落として割れちゃった。だから、これはちょっと……」
真宙くんには、渡せないよ。
好きな人には、割れたモノよりもやっぱり上手くできたのを渡したいし。
だから、カバンの中にクッキーをしまおうとしたそのとき……
あたしは真宙くんに、腕をガシッと掴まれた。
「ちょっと待って」