一番好きなのは、キミだから



公園の屋根のあるベンチで、真宙くんとふたりきり。


雨が激しく降っているからか、当然辺りには誰もいない。


他に人がいなくて良かったけど……。


真宙くんとの間にはいつの間にか隙間なんてないくらい、互いの身体がピッタリとくっついている。


どうしよう。真宙くんの温もりを、ダイレクトに感じて……。


あたし今、尋常じゃないくらいドキドキしてる。


「ねぇ。七星ちゃんは俺と、こういうことするの……イヤ?」


ううん、イヤなんかじゃない。


あたしは、首を繰り返し横にふる。


「無理してない?」


「全然。いつも以上にドキドキはするけど、真宙くんをそばで感じられて嬉しいよ」


これは、本当の気持ち。


あたしは、真宙くんに微笑んでみせる。


「良かった。だけど、七星ちゃんにそんなふうに言われたら……俺、やばいんだけど」


真宙くんが、あたしを抱きしめる手に力を込める。


「後ろから抱きしめてたら……七星ちゃんの顔見えない。ねぇ、こっち向いて?」



< 150 / 248 >

この作品をシェア

pagetop