一番好きなのは、キミだから



後ろからあたしを抱きしめていた真宙くんが、あたしからそっと離れる。


「いや、だって、真宙くんは雪乃ちゃんのことが好きなんじゃ……?」


「なんでここで、中条の名前が出てくるの? 違うよ」


……違う?


「七星ちゃん、こっち向いて」


あたしは真宙くんの手によって、身体をくるりと真宙くんのほうへと向けられた。


真宙くんと真っ直ぐ目が合って、ドキリとする。


「あのさ、俺が好きなのは……七星ちゃんだよ?」


……え?



「俺は、七星ちゃんが好きなんだ」



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