一番好きなのは、キミだから

｢ああー、やば。めちゃくちゃうま｣


キスのあと。真宙くんはようやくケーキを口に含み、とびきりの笑顔になる。


真宙くんの、フォークを持つ手が止まらない。


｢ふふっ。素敵な笑顔だなぁ……｣


チョコケーキを口いっぱいに頬張って食べる真宙くんが可愛くて、あたしはついつい見つめてしまう。


｢真宙くんって、ほんとにケーキが好きなんだね｣


｢うん、ケーキも好きだけど……。
一番好きなのは、キミだから｣


｢え？｣


｢俺が何よりも一番好きで、大切なのは……七星だよ。それだけはきっと、この先もずっと変わらないから｣


真宙くん……。


まさか、あたしのことをそんなふうに言ってくれるなんて。胸がじーんと熱くなる。


｢七星もチョコケーキ、食べる？｣

｢うん。食べたい｣

｢それじゃあ、はい。あーん｣


差し出されたフォークを口に含むと、程よい甘さが口いっぱいに広がった。