一番好きなのは、キミだから
……我が妹ながら、ぷんぷんと怒った顔も可愛いな。
奈紗は、俺と年齢が6歳離れているからか、より可愛く思う。
6歳までずっとひとりだった俺に、初めて妹ができたときの喜びは、今でも鮮明に覚えている。
あの小さかった奈紗が……今日で10歳か。
10代突入……。なんだか、感慨深い。
俺は、奈紗のサラサラの黒のショートヘアをくしゃくしゃっと撫でる。
最近は、生意気だなと思うときもあるけれど。妹は、やっぱり可愛い。
「あのなぁ、奈紗! ケーキじゃなくて、兄ちゃんはチョコのプレートを撮ってんだよ。それ、兄ちゃんの好きな子が書いてくれたんだから」
たかがプレートくらいで必死すぎって、思われるかもしれないけど。
しかも自分のではなく、妹ので。
プレートにメッセージを書いてくれたことも嬉しかったけど……何より、今日七星ちゃんと今までで一番話せたことが嬉しかった。
「お兄ちゃんの好きな子って……もしかして、彼女できた?」