あなたは運命の人
「桐人君と結婚する気は無いんだろ?それなら良いじゃん、俺で」

結婚する気は無い?

本当、なのか……?

ショックで胸が苦しくなる。


「俺なら家柄も気にせずに一緒に居られる」

胸の痛みに苦しんでいると聞こえてきた言葉にハッとした。

確かに美優は両親が決めた結婚は止めようとか、俺の父の会社の心配はするなとか口にしていた。

もしかして美優は、俺が会社のために結婚したいと思っている……?


「でも……」

美優がもごもごと言葉を出した。


「私は……」

戸惑いながらも何かを言おうとしている。




「…………桐人君が……」


躊躇いがちに出された自分の名前に、身体が勝手に動いた。
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