あなたは運命の人
「孫もすぐに見れるかしらぁ!安心したから帰るわね!」

「えっ!?もう帰るの!?」

引き止めるように手を前に伸ばして声を掛けるが、もうお母さんはリビングから出て行っていた。

「おばさんを見送ってくるよ」

桐人君はお母さんを追いかけて行ったが、私は先程の発言が気になって動けなかった。


いつか私は結婚し、妊娠するだろう。

お母さんは孫の顔を見れるのだろうか。

その日まで生きているのだろうか、と……。




「明日、不整脈の定期検診って聞いたよ。一人で行ける?不安なら付き添うから」

昼食を食べ終わると桐人君が言った。
お母さんが桐人君に伝えたようだ。
社会人の桐人君に付き添いなんてお願いするなんて、と母に少し呆れた。

社会人の桐人君が私に声を掛けるのは、親会社の娘だからだ。

こんな形で気に掛けてもらっても、全然嬉しくない……。

そう思うが、顔に無理矢理笑顔を張り付けた。

「大丈夫です。一人で行けますから」
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