あなたは運命の人
「あ、あの、き、桐人君……?」

変に声が掠れた。

動揺したのは、桐人君が何故か私に近付いてくるから。

今の心臓の音はバクンバクンなんて可愛い音じゃない。

ドコドコ!と速い重低音。

桐人君、何をしようとしているの……?




「あっらー!やだー!」


甲高い声が突然響いた。
目の前の桐人君がピタリと止まり、すぐに私から離れていった。
そこに現れたのは、

「お、お母さん!?」

ニコニコした顔のお母さん。
どうやらこの部屋を買った人間は勝手に入ってきたらしい。

「様子をこっそり見にきたんだけど、ラブラブじゃない!お邪魔したらいけないから今度からはちゃんとインターホン押すわね!」

仲良く昼食を作っていると思ったのだろう、お母さんは勘違いした。
でも勘違いしてくれて良かった。
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