あなたは運命の人
「頑張って」

桐人君は微笑んで応援してくれると、キッチンで水を飲み、リビングから出て行った。

どこか切なげな表情のように見えたのは気のせいだろうか。




「明日も大学かな?」

晩ご飯中、桐人君に毎日の日課のように明日の予定を訊かれた。

「明日、諒ちゃんの会社でインターンなんです」

「そうか。頑張って」


食べ終わり、二人で後片付け。
最初は私がやると言っていたが、初日のベッド同様でお互い譲らないので、一緒に片付けようという桐人君の提案に折れた。

後片付けを終わらせると、私はお風呂へ向かう。
桐人君は仕事をやりに自分の部屋に。
お風呂から出てくるといつものようにリビングは空っぽ。

いつもはぼんやりテレビを観たり、本を読んだりして過ごしたりするが、今日は明日のことで緊張して何かをやる気にはなれなかった。


「まだ起きていたのか?」

ぼぉーとリビングのソファに座っていたら桐人君の声にハッとした。
壁時計に目をやると長針と短針は天辺に近かった。

それよりもだ。
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