やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 握手では無く、私の右手を河村君の左手が握り込むように包んでいる。こんな時どうしていいか分からなくて、手に視線を落とせば自然と顔を俯けるものだから、助かる。
 今は顔に相当熱が篭っているのが、自分で分かってしまうから。

「三上さんが知らない男と一緒にいる方が不安だよ。駄目だよ、そんなの……」

 きゅっと握り込まれた手の感触に、はっと息を息を飲む。
 それは……

(もしかして私が従弟と一緒にいる事で、変な噂が流れたら、河村君の都合が悪くなるから……とか?)

 なんて風に考えてしまう、穿った見方をする私……
 けれどその考えに賛同する分身たちが、私の中でそうだそうだと声を上げる。

 ──どうしてそんな事をするんだろう。この手だって後で離すつもりのくせに……と。

 私には智樹みたいに比べる相手がいない。だから本当のところは分からない。けれど、やっぱり彼が最初に言った通り、私に求めるのは恋人の振り。
 
(だって私たちは信頼関係のある友達だから……)

 それ以上の関係になるなら、振りなんて頼まないでしょう? だから……

「もうこういうのは止めたいんだ」
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