やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 ぞっと背中が強張る。

 同じ? 俺が愛莉と?

 どこが──

 まだショーウィンドウに映る、歪に笑う愛莉の幻影と目が合えば、彼女は俺に甘えたその顔で、他の男に手を伸ばす。

 見せつけられるようなその姿は、俺の頭に確かにあって……見た事は無かったけれど、現実だった事。

 同じ……

 愛莉が手を伸ばした先の男の顔が、自分のものに変わる。

(雪子にも俺がこんな風に見えたのか?)

 誰かの想いを踏み躙り、背徳に酔う男女が絡み合う姿は、確かに自分で、愛莉だった。


「う、わああああああ!!」


 急に叫び出して駆け出す俺を、周りの奴らが驚き振り返る。

 もう見たくない。
 酷く、醜く映る俺の顔が、愛莉と一緒だなんて、考えるのも嫌だった。
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