やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

「泥酔して恥ずかしかったから……」
「まあそうだけどさ」

 ぷっと笑いながらも、まだ離してくれない手が気になる。それとなく手首に視線を送って不自由をアピールしてみるが、どうやら河村君は意に介していないようだ。

「ねえ、もう離してよ」
「うん」

 にこにこと笑いながら、河村君はぱっと手を離して降伏のポーズを取った。

「だからさ、恋人役お願いね」
「何で!?」

 唐突な要求に勢い良く上を振り仰ぐ。

「俺へのお詫び」
「さっき持って行ったピアスは!?」
「あれは金曜日のお詫びの印」
「お礼はいらないとか言って無かった!?」

「お礼じゃなくてお詫びの印だってば……今日だけで五人にLINE聞かれちゃった」
「……それは……おモテになる事で」

 くたりと力が抜ける。
 確かに彼に向けられる女性たちからの視線はキラキラしたものばかりだった。
 背が高くてすらりとしてるし、顔立ちも整ってるから、仕方が無いとは思うけど。
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