やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「智樹の幼馴染さんからだった……」
黙々と歩いていく中に何か圧力を感じたから。
或いは身体に溜まった何かを吐き出したくなったからなのかは分からないけれど、気付けば私はそう口にしていた。
けれど言葉にすればその存在感はずしりと重みがあるのだから堪らない。
幼馴染の愛莉さん──
思わず唇を噛みしめれば、怪訝な顔をする河村君が視界に入り、やっぱり余計な事を言ってしまった、と失言に眉を下げる。
「何? 日向がどうかしたの?」
私は僅かに逡巡して、けれど言い始めたのは自分だったと答えを返す。
「……その、二人は付き合ってるんだって……」
その言葉に河村君は眉を顰める。
「……まあ、そうだろうな。で? 別れたんだから、もう関わるな、とか?」
「……」
そう言ってくれた方が良かった。
私は今、どんな顔をしているんだろう……
「どうした?」
眉間に皺を溜めながら、けれど優しいその声音に耐えられなくなりそうになる。
「別に、それだけ……でも……ああやっぱりなあって……思った、から……」