やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 どこか必死に言い募る愛莉さんに、それでも河村君は呆れたように笑うだけ。
「……あのね、俺たちは普段から家で過ごす事が多いんだ。日向が入り込む余地なんて、あるわけない」

 その言葉に愛莉さんはショックを受けているようだ、けど……正確には、河村君は私の家には入った事は無くて。
 
 ただ夜遅くなれば家まで送ってくれては、心配だからと、わざわざ家の様子におかしなところが無いか。と、チェックしてから帰るので……
 智樹がいない事など分かりきっている、のだ。

『玖美が三上さんの話をうちの親にもしてさ、女の子の一人暮らしを心配されるんだよね。自分たちの娘と重ねちゃうみたいでさ』

 なんて言われれば断れず。
 最初は恥ずかしかったこの行為も、防犯だからと頷いて、今では慣れてしまった。
 ……とはいえ、こうして改めて人に話すところを見ていると、やはり羞恥が込み上げる。

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