運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
「待たせたね…コーヒーでも飲むかい?」
龍崎部長は立ち上がり、部屋に用意されているコーヒーサーバーに手をかけた。
コポコポ…珈琲をカップにそそぐ音と香りが部屋に広がる。
「ブラックで大丈夫かな?」
「…はい。ありがとうございます。」
「どうぞ…冷めないうちに…」
龍崎部長はコーヒーを置きながら私の前に座り、その長い脚を組んだ。
何気ない仕草も悔しいほど絵になる。ドクンと心臓が鳴る…
「あの…お伺いしたいのは…その…き…京子…いや、西条さんのことで…」
「…うん。西条さんがどうかしたの…?」
「だから…その…龍崎部長とお食事してから…なんか…元気ないし…」
「そう…。食事してセックスしたこと?」
その言葉に顔が爆発しそうなほど赤くなったのがわかる。心臓が飛び出しそう!
「な…な…なんでそんなに平然と…やめてください、そんな言い方…」
「だって、聞いたのは鈴木さんでしょ…そんなに真っ赤になって可愛いね…」
「どうして…好きな方が他にいらっしゃるのに、京子にそんなことができるのですか…?」
「う…ん、僕が誘った訳じゃないよ…彼女がそうしたいって言ったから付き合っただけだ。」
「でも…部長は彼女の気持ち知っていて…そんなこと!」
龍崎部長は静かに片方の口角を上げた。妖しい表情にまた心臓が煩く鳴る。
「僕が彼女にしたことがそんなに許せないなら…君にも同じことしてみようか?」
さらに顔から火が出そうになる。
「ふざけないでください。部長の所為で京子は、あんなに元気がなくなってしまって…」
突然言葉が遮られた。
私は何が起こったのかを理解するのに、時間がかかった。
------------------------っえ?---------------------
龍崎部長の唇が私の口を塞いでいた。
でも…なにこの感触…
初めてじゃないし…
何故か気持ち良い…
私は理性を必死に取り戻し、そんなことを考えた自分が恥ずかしくなった。
「嫌…何するのですか!!」
「俺を知っているだろう…この感触。」
「な…何を仰ってるか…わかりません…もう私…帰ります!!」
「西条さんを助けたいのだろ?何が起こったか確かめなくていいのかな?」
静かに立ち上がった龍崎部長は、部長室の鍵を静かに閉めた。