運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
「…何をするつもりですか、私は帰ります!!」
「教えてあげるよ…西条さんが俺に夢中になった理由をね…」
立ち上がった龍崎部長に、私はすぐに壁に押し付けられた。
逃げようと抵抗するが、動けない…
「やめてください…何をするのですか!!」
「本当に止めて良いのかな?君も本当は望んでるいるのじゃないかな…俺にこうして欲しいとね。」
「望むなんて、絶対にありません!止めてください!」
龍崎部長は嫌がる私を壁に押し付けて口づけた。
抵抗するが、押さえられていて身動きが取れない。
「---------うぐ…う…う…」
唇で塞がれて声が出ない!!
(…体から力が抜けていく…抵抗できない…)
嫌なのに…ぞくぞくする…
嫌なのに…抵抗できない…
嫌なのに…もっと欲しくなる…
嫌なのに…
。
龍崎部長の口づけは、角度を変えるたびに深くなる。
さらに力が抜けていく…
(…嫌…でも…私の体どうなってるの…力が抜ける…だめ…)
(この感触…)
(私の体は求めていたの?)
(なぜ…)
その時、龍崎部長の声が聞こえたような気がする。
「やっと見つけた…愛しいリリス…」
---------------っえ!---------------
「ずっと…君を探していたのだ…君は俺を知っているはずだ…」
唇は離されたが、龍崎部長の熱のこもった瞳に抵抗できなくなる。
(…あなたは誰なの…)
「君の体は俺を欲しいと言っているはずだ…理性はいつまで俺を避けられるのかな…」
「私には付き合っている彼がいます。彼を裏切るわけにはいきません。それに…部長を欲しいなんて…思うわけが…」
私は何故かそれ以上言葉が出なかった。
「…本当に思わないのかい?…そう…じゃあこれ以上、無理強いはしない…」
龍崎部長はいきなり私を離して、背を向けた。
何故か離れた体が寂しく感じる。
体が中から火照っているようだ。
(…私…今、この背中に抱き着きたいと思っている…なぜなの?…)
龍崎部長は背を向けたまま静かに話し始めた。
「西条さんは、君の勇気と気持ちに免じて、解放してあげるよ。このままだと命も取ってしまうからね…」
「…えっ、何を言っているのですか?」
「西条さんは友達思いの、良い友達を持っていたね…」
「…龍崎部長…私…」
「鈴木さん、話が済んだら早くお帰り…僕も我慢がいつまで出来るかわからないよ。」
私は深くお辞儀をして部長室から出た。
いろいろな事がありすぎて、頭の中がぐるぐると回っているようだ。
気が付くと、私の携帯電話に着信があったことを点滅で教えていた。
着信は京子だ。慌てて私は京子に電話してみた。
「…あっ、京子。電話くれた?体は大丈夫?」
「…うん。なんかさぁ急に元気になって来たみたい。それにやっぱり自分の彼に会いたくなっちゃって。これから早速遊びに行くことにしたの。龍崎部長は諦めるよ。一応、恵美には伝えたくてね…バイバーイ。」
いつも通りの京子だ。
自分だけ言いたいことを言って切る電話はいつもの京子だ。
(京子…よかった…元に戻ったんだね…)