運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
「龍崎部長…私は…あなたを…」

「今は、それ以上は言わないでくれ、高山君が君を必要としている…」

「…でも…」

「…恵美…」

龍崎部長は、あえて話題を変えてきた。
私の言葉を止めるためだろう…

「そういえば、お腹空かないか?」

「…そうですね。何か作りましょうか?」

「…鈴木さん料理できるの?」

「お口に合うかはわかりませんが…」

「さっき、買い物をお願いして、冷蔵庫にいろいろ入っているから…お願いするよ。」

「お任せください。…あ…ところで嫌いな食材とかありますか?」

「…特にないな。」

「あっ…ニンニクだめですよ…ね?」

「…ん?なんでだ。」

「だって…昔読んだ話にニンニクが嫌いって…」

「…まさか…それ…ドラキュラの話か?」

「…あっ…ごめんなさい間違えた…フフフッ」

「あのなぁ…俺はドラキュラじゃないから…」

私は冷蔵庫の食材で、トマトパスタとシーフードサラダをつくった。
私の得意料理でもある…。

「龍崎…さん。お料理できましたよ…」

ベランダで座っていた龍崎さんに声をかけた。
暖かい日差しの中、椅子に座り、気持ちよさそうに居眠りしていた。


長い睫毛に、形の良い高い鼻、口角のキュッと上がった薄い唇、艶のある黒髪…


「本当に…綺麗な顔…」


私は、そっと頬に触れてみた…
気持ちよさそうに寝ている…

私は、その唇に引き寄せられるように口づけした…

「…リ…リリス…いや…めぐ…み…」

私は驚いて唇を離したが、龍崎さんは夢を見ているようだった…

龍崎さんの瞼がゆっくり上がり、目を覚ます…
横にいる私に驚いたようだ…


「お料理できてますよ…食べませんか?」
「ありがとう…いただくよ。」

龍崎さんは、美味しそうに全て残さず食べてくれた。
その顔を見るだけで、幸せに感じる…

顔色もだいぶ良くなり、元気になってきたようだ…

「…よかった…」

小さな声で呟いたつもりが、聞こえていたようだ…

「心配かけたな…悪かった…もう大丈夫だ…明日から会社にも行けそうだ…」

「無理はしないでくださいね…」

「ああ…無理してないよ。」

それでは、私は帰ります…

「ありがとう…気を付けて帰れよ…」

「…はい。」


私はそのまま扉を開けて、外に出た。

本当は…触れたい…

本当は…抱きしめて欲しい…

本当は…


私はぎゅっと目を閉じ、気持ちを振り切るように首を振った…


「私は、健斗のところに帰らなくちゃ…」

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