運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
私は龍崎さんの車で帰る途中だった。

いろいろな事が起こり、昨日は頭が働かなかったが、いくつか気になることがあった。

「あの…私の荷物は、どうなるのでしょうか?」
「家に着いたら確認しろ…」


…何を言っているの…?


龍崎さんが家のドアを開けた。

「…えっ…」

何か違う…昨日までの部屋と様子が違う。

(…何かが違う…どうして…)

部屋の奥に進むと、その意味が分かった。

私の服や荷物が、綺麗に置いてある。
それは、まるでずっとそこにあったように置かれていた。


そして、もう一つ確認したいことがあった。


私は急いで自分のジュエリーボックスを開けてみる。

この中には、健斗から貰った婚約指輪が入っていたはずだ。

ボックスを開けてみると、有ったはずの指輪が無い。


(…やはり箱が無い。健斗の彼女がしていた指輪はやはりこの指輪だ…)


私の様子を見ていた龍崎さんは、そっと後ろから私を抱きしめた。


「…恵美…俺は…お前を苦しめてしまったな…すまない…」

抱きしめられた腕が震えていた。


(…泣いているの…?)


「圭吾…私こそ…あなたを苦しめてしまって…ごめんなさい…」

「…恵美…」

「私は…圭吾に会えて…幸せだよ!」


振り返った私の額に、圭吾は優しく口づけた。



こんなにも…温かい

こんなにも…大切にしてくれる

こんなにも…愛してくれる



「…圭吾…私は、この運命に感謝しています。」

龍崎さんは、まだ悲しい目で私を見つめている。

「圭吾…私、気づいたの。最初はこの運命を受け入れられなかったし、なんでこんな事になったのだろうと、運命を恨んだりもした。でも、今は私の中のリリスがあなたを求めているだけじゃないの…」

「…どういうことだ?」

「私は、ルシファーを愛しているのではなく、龍崎圭吾を愛しているの!」

「…恵美!」

「だから…あなたと一緒に居たいの。あなたを、圭吾を愛しているから…」

私は真っすぐ龍崎さんに向き合った。
しっかりと龍崎さんの美しい瞳を見つめる。

「俺は…恵美を高山君から奪ったのに…許してくれるのか…?」

「健斗を愛していたことに嘘はありません。でも、あなたは自分を犠牲にしても、私を守ってくれる。大きな愛で包んでくれているのが分かるの。」

「…恵美…愛している…」


龍崎さんの腕に引き寄せられる。
少し痛いほど抱きしめてくれる。
優しく額に、もう一度口づけしてくれる。



…温かい…
…安心する場所…



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