【完】夢見るマリアージュ
「周りからどう思われたとしても、私が嫌なんです。
ちゃんと自分に自信を持って、北斗さんと向き合いたい。 それに今日は楽しむつもりですけれど、今までの頑張りを無駄にはしたくない」
真っ直ぐな瞳をして’北斗さんと向き合いたい’なんて言われてしまうと、勘違いしたくなってしまう。
もしかして彼女も自分と同じ気持ちでいてくれているのか、と願いたくなってしまう。
「北斗? やっぱり北斗じゃない」
名前を呼ばれると向き合っていた城田さんの表情が少しだけ曇ったようだ。
その声には聞き覚えがあった。
振り向くと、そこにはレナの姿があった。 俺と城田さんが一緒に来ているのを確認すると、ほんの少しだけ表情が緩む。
俺の隣に居た城田さんは下を向いてしまい、レナから顔を背けるように小さくなってしまう。
「ああ、レナ。今日はチケットありがとう」
「全然。今回のイベントは会社でも手伝っているし、北斗お菓子好きだったなあって思って。
一応二枚チケット渡しておいたけれどまさか北斗が女性を同伴させるなんてね、驚いたわ」
「ああ…、あ、彼女は阿久津フーズファクトリーの営業部にいる城田 香さん」