【完】夢見るマリアージュ
■5■ *SIDE香* 夢じゃない。

■5■ *SIDE香* 夢じゃない。




まさか私の元にこんな夢のような幸せが訪れるなんて…。

俺は城田さんが好きなんだ。 そんな夢のような告白から、まさか北斗さんの実家に行ってご両親と会う事になるとは…。

しかも北斗さんのお母様は上品で美人で、けれど飾った事がない優しい女性だった。 そして彼女の生い立ちの一部を訊いた私は不覚にも泣き出してしまったんだ。

両親を早くに亡くし天涯孤独で生きて来た。けれど阿久津社長と出会って北斗さんが産まれ、彼女がどれだけ幸せだったかは顔を見れば分かる。

思わず感動して泣き出してしまったのだ。  そして彼女は想像した以上に私に良くしてくれた。 実の母とうまくいっていない私にとってそれは嬉しかったんだ。


そして北斗さんの実家を後にして、そのままマンションに誘われた。

北斗さんのマンションで朝を迎えるなんて、夢にまで見た夢のようだ。 ベッドの中で彼と吐息に包まれて、ここ数ヵ月で起こった出来事を思い返していると、うさぎのリリーが真っ黒の瞳でこちらを見上げた。

手を伸ばそうとするとぷいっと顔を背けて、逃げて行ってしまったのだが……。

…本当に夢のような一日だった…。

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