【完】夢見るマリアージュ
「それより今日は時間大丈夫?」
「大丈夫です。…元々休日は暇なので」
彼氏も友達もいなかったから、特に休日にする事はなかった。
最近はジムに行ったり、趣味のお菓子作りをする位か。
「じゃあ、今日は二人でデートしようか」
「デート、ですか?」
ちらりとテレビ台の後ろに隠れたリリーの気配を感じる。
「けれど…リリーが可哀想では…あんまり構ってあげられていないし
私が居る事によって怖がって寛げてもいないみたいなので…」
「リリーの事まで考えてくれてありがとう。 大丈夫。今日の夜はずっとリリーと一緒にいるから。
香ちゃんとデートしたい気分なんだ。 嫌かな?」
嫌な訳ない。むしろ願ったり叶ったりで、北斗さんと一晩中一緒に居れた上に、休日まで独り占め出来るなんて。
「う、うれひいです!」
思わず噛んでしまった私を見て優し気に笑いかけてくれるから舞い上がってしまって仕方がない。