【完】夢見るマリアージュ

周りから責められるような事を言われると、ますますと言葉が出なくなってしまう。
ぎゅっと握りしめた拳には、嫌な汗をかいていた。

確かに私今嫌な感じだ。 押し黙って下を向いてばかりで、けれどどうしても顔を上げられない。
私を馬鹿にする人の視線が怖い…。

「ちょっとちょっと皆待ってよ。 そんな事より城田さん、今彼氏いないんだよね?」

「はあ…まあ…」

北斗さんとの事は会社の人間には秘密だ。

「じゃあこの中だったら誰がタイプ?」

「へ?」

青柳さんの言葉に顔を上げると、男性陣の顔がぐるぐると目の前を回る。

目は口ほどにものを言うという。 ’こんなブスに選ばれると最悪’ 周囲の視線がまるでそう言っているようだった。

「タイプの人いない?」

いないと答えるのもまたブーイングが起きそうだ。

お前如きのブスが何を選り好みしているのだ、と。  どうしてこういう時、冗談を冗談で受け流せないんだろう…!

私のせいで段々と場の空気が悪くなっていくのをひしひしと感じていた。

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