【完】夢見るマリアージュ

「どういう分量で作ってるんだろう…。 自分でも調べて作ってみようかな…」

「城田さん、お菓子なんて作るの?」

「え?あ、はい。お菓子作りは趣味で。
ちょっと調べて自分でも作ってみようと思います。
もし成功したら、岸田さん食べて見ますか?」

「いいの?!ここのカフェ美味しいんだけどちょっとお高めだからいつでも来れるって訳じゃないから。
嬉しいわ」

「アハハ、岸田さん本当に甘党なんですね」

「何笑っているのよッ。女の子なんだから誰だって甘い物は好きじゃない!」

私達は確かに同じ場所で笑い合っていた。
それさえも、私にとっては夢みたいな時間だ。

馬鹿みたい。 さっき岸田さんが言っていた言葉が蘇る。 本当に馬鹿みたいだ。
勝手に周りを評価して、バリアを張っていたのは自分自身ではないだろうか。

こんな私が何をやっても無駄だ。 そうやって諦めて、いつだって手に入らない物をいらない振りしていた。

母の言葉の全てを信じていた。 呪いのように繰り返された、あの言葉を……。

変わりたい、と思い始めたのは北斗さんと並んで恥ずかしくない自分で居たかったからだ。  素直にそれを認めたら、心に重く圧し掛かっていた何かがフッと軽くなるのを感じた。

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