ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「あいつはジークハルト。生きた人間ではない」

 リーゼロッテの手を取り、ジークヴァルトが前に突き出すように導いた。突き出された手は、あぐらの男の体を突き抜け、長椅子の背もたれに置いてあったクッションにふれた。

「遠い祖先らしいが、とにかくこいつはオレの守護者だ」

 突き抜けた手を、リーゼロッテはさっと引っ込める。

『まあ、そんなわけだから、よろしくね。リーゼロッテ』

 ひらひらとリーゼロッテに手を振った守護者は、よくみるとうっすらと透けて見えた。しかも、座っているようにみえた椅子から、少し浮いたところであぐらをかいている。

『あはは、こういう反応、新鮮だなー』

 固まって動かないリーゼロッテを青い瞳でのぞき込みながら、ジークハルトはあぐらをかいた姿勢のまま、ぐるんと一回転して見せた。


(う、う〇ろの百太郎、出た――――っ!!)

 リーゼロッテは、無意識にまたジークヴァルトにしがみつくのであった。

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