ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 再び横を見る。ジークヴァルトだ。

 正面を見た。やはり無表情のジークヴァルトがいる。

 再度横を見ると、あぐらをかいたジークヴァルトが笑顔を作った。それはもうにっこりと。あまりのさわやかな笑顔に、リーゼロッテは小さく悲鳴を上げた。

「ジークヴァルト様が、笑った……!」

 その一言に、あぐらのジークヴァルトは、さらに相好を崩した。

「ジークヴァルト様、あちらのジークヴァルト様のお顔がおかしくて気味が悪いです!」

 リーゼロッテはニコニコ顔のジークヴァルトを指さしながら、正面の不愛想なジークヴァルトに助けを求めるように訴えかけた。

「おかしいのはお前の方だ」

 あきれたように、無表情のジークヴァルトが言った。

「あれはオレではない」

 そう言いながら体を起こすと、ジークヴァルトはリーゼロッテの手を引いて立ち上がらせた。

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