ふたつ名の令嬢と龍の託宣

プロローグ

 山脈に囲まれし小国ブラオエルシュタイン。

 雪にうずもれるこの国は、龍の神助を受けながら長く平和を保ってきた。

 新しき王の御代を迎え、龍の落とす言葉のままに、多くの者が(いしずえ)となり続けていく。その先に見えるのは悠久の安息か、光の収束か……

 導きに翻弄(ほんろう)されながら焦がれ続けた宝がふたつ、永遠の充足を求め、今ひとつにならんと(きずな)を結ぶ。


 ここに示すのは、龍に見守られし者たちのたおやかな愛の物語――




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