ふたつ名の令嬢と龍の託宣
【第14話 天のきざはし】
ジークハルトは王城の様子を、城外の高い空中から見下ろしていた。リーゼロッテが移動するのにつられて、異形たちも後を追うかのように集まってくる。
異形たちの声に目と耳を塞ぎ、苦悶の表情を浮かべるリーゼロッテの姿が目に焼き付いた。
そう、その姿は、まるで彼女そのものだった。
ジークハルトはリーゼロッテの顔を、いつも楽し気にのぞき込んでいた。リーゼロッテの瞳の色が、一度だけ開かれた彼女のそれと同じだったからだ。
だが、やはり彼女は瞳を閉じていてこそ彼女なのだ。ぎゅっと目を閉じて異形の声に耐えるリーゼロッテを見て、ジークハルトは心躍らせた。
ジークハルトの耳には、異形たちの咆哮は、助けを呼ぶ声にしか聞こえない。そう、自身の心に共鳴するかのように。
(姉上……もう、終わらせてもいいのでしょう……?)
その時が来れば、もう一度、彼女に逢えるかもしれない――
そう思うとただ気が逸る。
ジークハルトは、ここ数百年感じることのなかった、得も言われぬ高揚感にその身をまかせていた。
異形たちの声に目と耳を塞ぎ、苦悶の表情を浮かべるリーゼロッテの姿が目に焼き付いた。
そう、その姿は、まるで彼女そのものだった。
ジークハルトはリーゼロッテの顔を、いつも楽し気にのぞき込んでいた。リーゼロッテの瞳の色が、一度だけ開かれた彼女のそれと同じだったからだ。
だが、やはり彼女は瞳を閉じていてこそ彼女なのだ。ぎゅっと目を閉じて異形の声に耐えるリーゼロッテを見て、ジークハルトは心躍らせた。
ジークハルトの耳には、異形たちの咆哮は、助けを呼ぶ声にしか聞こえない。そう、自身の心に共鳴するかのように。
(姉上……もう、終わらせてもいいのでしょう……?)
その時が来れば、もう一度、彼女に逢えるかもしれない――
そう思うとただ気が逸る。
ジークハルトは、ここ数百年感じることのなかった、得も言われぬ高揚感にその身をまかせていた。